平和乃観音像は広島市中区、平和記念公園の中にあります。この場所には「中島本町」という町があり、昭和初期まで繁華街の中心として多くの人でにぎわっていました。中島本町は原爆投下によって建物が無くなり、戦後は平和記念公園となったため姿を消しました。そんな消えた町に関する記憶の継承や犠牲者への慰霊、平和への思いを込めて建設されたのが平和乃観音像です。この像は1956年8月6日、彫刻家新井秀山によって建立されました。像の手前には生き残った町民が記憶や航空写真を頼りに作成した「中島本町被爆復元地図」があります。この地図を見ると戦前、如何に中島本町が栄え、人々が集う土地だったかを感じことが出来ます。本来は宗教的なものを建ててはならないという決まりが平和記念公園にありますが、この像は芸術作品ということで建設が許可されました。平和乃観音像は広島電鉄「原爆ドーム前」駅から南へ徒歩6分、原爆供養塔のそばです。