祇王寺は、京都・奥嵯峨にある悲恋の物語で知られる尼寺です。「平家物語」によれば、平清盛の寵愛を受けていた白拍子祇王は、同じ白拍子の仏御前に清盛の愛を奪われ、祇王21歳のとき母・妹とともに尼になりこの庵に移り住みました。後に仏御前も無常を感じて祇王のもとを訪ねて尼になり4人は念仏三昧の日々を送って暮らしたそうです。祇王寺は昔の往生院の境内にあり、往生院は法然上人の門弟・良鎮によって創建されたと伝わっています。山上山下にわたって広い寺域を占めていた往生院も後年は荒廃し、ささやかな尼寺として残り、後に祇王寺と呼ばれるようになりました。境内では苔に覆われた庭が有名で四季折々の山野草が楽しめますが、特に秋には赤く染まった楓の葉が苔の上に降りそそぎ、赤と緑のコントラストが非常に美しい情景を見せます。JR嵯峨嵐山駅からは歩いて25分ほどかかり、渡月橋近くの賑やかさとは離れた静かな嵯峨野らしい風情のある場所です。